11−3.加熱による影響

 ゼラチン溶液を加温した状態で長時間保存すると、加水分解によりゼラチンの低分子化が起こり、粘度やゼリー強度が低下する。物性劣化の程度は、ゼラチン溶液のpH、温度、加熱時間によって変化する。
 図11−3−1,2に、アルカリ処理ゼラチン(6.67%, pH5.6)を、60℃で保存した場合の物性変化を示した。初期物性は、粘度が 30mp, 36.5mp, 45mp、ゼリー強度が 115g, 165g, 215g (JIS K6503)である。両物性ともに、加熱により経時的に劣化し、数値が低下していくのがわかる。

<図11-3-1>加熱による粘度の経時変化

<図11-3-2>加熱によるゼリー強度の経時変化

 粘度 45mp、ゼリー強度 215g のアルカリ処理ゼラチン(6.67%, pH5.6)を、50℃〜80℃まで温度を変えて保存したときの物性劣化を図11−3−3,4に示す。加熱温度が高くなるほど、物性劣化の程度は大きくなっていく。

<図11-3-3>加熱温度の影響 〜 粘度

<図11-3-4>加熱温度の影響 〜 ゼリー強度

 粘度劣化におよぼす保存pHおよびゼラチン濃度の影響を、図11−3−5,6に示した。アルカリ処理ゼラチン(粘度 45mp)を、所定のpH、濃度の溶液に調製し、60℃で加熱保存している。なお、加熱処理後の粘度は、検液を 6.67%、pH5.6に再調整して、測定した。pHについては、中性域から離れるほど、粘度低下の程度が大きい。また、高濃度のゼラチン溶液の方が物性劣化は少ない。

<図11-3-5>保存pHの影響

<図11-3-6>ゼラチン濃度の影響

 ゼラチンの物性劣化は、最終商品の特性に大きく影響するため、ゼラチン溶解後の加工工程における加熱処理は、可能な限り低温、短時間で行なう必要がある。