5−1−2.アミノ酸組成

 ゼラチンは、コラーゲンの熱変性物質であるため、そのアミノ酸組成はコラーゲンとほぼ同じである。AタイプとBタイプでは、Bタイプの方が若干オキシプロリンが多く、逆にチロシンは少ない傾向にある。豚皮および牛皮、牛骨ゼラチンのアミノ酸組成の一例を以下に示す。

 ゼラチン・コラーゲンのアミノ酸組成および配列は、他のタンパク質と比較して非常に特異的である。グリシンが全体の約3分の1を占め、アミノ酸配列では3個に1個の繰り返しとなっている。グリシンは最も簡単なアミノ酸であり、分子鎖の配置への束縛も少なく、ゲル化に際してのヘリックス構造の再生に大きく寄与している。イミノ酸(プロリン、オキシプロリン)も多く含まれ、全体の約9分の2を占める。イミノ酸はピロリジン環をもち、グリシンとは逆に分子鎖の配置への束縛が大きく、ヘリックス構造の安定化に寄与している。必須アミノ酸について見ると、リジンが比較的多いのに対して、トリプトファンは含有量がゼロで、制限アミノ酸となっている。

<表5−1−2−1>ゼラチンのアミノ酸組成(1000残基あたり)
アミノ酸 略号 豚皮
(Aタイプ)
牛皮
(Bタイプ)
牛骨
(Bタイプ)
グリシン Gly 330 332 335
アラニン Ala 112 112 117
バリン Val (*) 26 20 22
ロイシン Leu (*) 24 23 24
イソロイシン Ile (*) 10 12 11
セリン Ser 35 36 33
スレオニン Thr (*) 18 17 18
アスパラギン酸 Asp 45 46 47
グルタミン酸 Glu 72 71 73
シスチン Cys 0 0 0
メチオニン Met (*) 4 6 4
リジン Lys (*) 27 28 28
オキシリジン Hyl 6 6 4
アルギニン Arg (*) 49 46 48
ヒスチジン His 4 5 4
フェニルアラニン Phe (*) 13 12 14
チロシン Tyr 3 2 1
トリプトファン Trp (*) 0 0 0
プロリン Pro 131 129 124
オキシプロリン Hyp 91 97 93

注)略号で(*)印は必須アミノ酸