5−2.等イオン点

 ゼラチンのアミノ酸組成で、側鎖に極性基をもつアミノ酸の割合は約35%あり、その内訳は、水酸基15%、酸性基12%、塩基性基8%である。酸性基をもつグルタミン酸、アスパラギン酸は、コラーゲン中では約3分の1がアマイド化されている。そのため、コラーゲンの等イオン点は、pH9〜9.2である。しかし、ゼラチンの製造工程中に、コラーゲン中の酸アマイドは加水分解され、アンモニアを遊離してカルボキシル基に変化するので、ゼラチンの等イオン点は低下する。特にアルカリ処理ゼラチンは、石灰漬工程で100%近く脱アミドされているため、等イオン点はほぼpH5である。これに対し、酸処理ゼラチンでは、原料処理期間が短く、脱アミド率が低いので、コラーゲンに近いpH8〜9の等イオン点をもっている。

 図5−2−1に、両タイプゼラチンの等イオン点と等イオン点分布を示した。酸処理ゼラチンは、前述のような理由で、アミノ酸側鎖の脱アミド率が低く、また分子ごとの脱アミド程度も異なるため、等イオン点が高いだけでなく、等イオン点分布もブロードである。これに対し、アルカリ処理ゼラチンの等イオン点はシャープな分布を示す。ゼラチン水溶液は、等イオン点より低pH側で+、高pH側では−に荷電している。このように、等イオン点を境にしてゼラチン分子の荷電状態が変わるため、系のpHによっては、粘度が変動したり、反対荷電の電解質との共存で濁りが発生することがあるので注意が必要である。

<図5−2−1>ゼラチンの等イオン点および等イオン点分布